海を売った人びと
これまで紹介した本は、学術的なもの多くありましたが、今回の本は韓国での大規模な干拓事業を通じて、様々な立場の人が様々な意見を持って生活する様子を描いたものです。
第1章 始華湖、巨大な問題の始まり
(始華湖はなぜ、何のために造られたのか?、災害としてみた環境変化と事業、調査と研究の方法)
第2章 暮らしは壊れて―オ島とヒョン島、住民たちの苦痛
(オ島とヒョン島はどのような島か、始華湖事業に対する住民の期待、事業施行以後の社会・経済的変化、始華湖事業に対する住民の現在の認識)
第3章 ブドウに希望を託した背景―マサンポ住民たちの夢と怒り
(マサンポの歴史・地理的背景、始華湖事業以前の社会・経済、始華湖事業直後の変化と住民の対応、ブドウの被害と住民達の生活、ブドウの被害に対する補償運動と被害調査)
第4章 過去の記憶と現在の暮らし―チファ二里住民たちの経験
(チファ二里の歴史・地理的背景、過去に対する地域社会の認識、地域共同体の弱体化と侵食、地域ならびに集団の文化、住民の適応方法と未来への展望)
第5章 結論にかえて―始華湖造成事業の問題点と課題
(始華湖問題の本質、環境権の侵害と被害補償問題、文化問題としての環境問題)
本書の事例に比較して、日本の例えば諫早湾の干拓事業とは、社会的、経済・産業状況、それに関わる人々の立場いずれをとっても異なると思います。
ただし規模は違えど、環境破壊に違いはなく、広大な干潟が埋立られています。
もちろん漁業者にとっては、漁場の縮小と、環境破壊の懸念に対して、事業者と対立することになりますが、国からの保証金によって折り合いがつき、事業は計画通り遂行されます。
果たしてこれでよいのだろうか、そんな答えを導いてくれる本の一冊です。
環境問題に関する研究者やNPO、事業者に是非読んでいただきたいと思います。
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